デジタルファクトリー関連の世界市場は2025年に55%増に 富士経済予測

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 民間調査会社の富士経済(東京都中央区)は2025年のデジタルファクトリー関連の世界市場が20年比55%増の6兆6393億円になるとの予測を発表した。DX(デジタルトランスフォーメーション)のさらなるニーズの高まりを背景に、シームレスにつながる工場の構築・稼働が加速し、市場は拡大を続けるとみる。

 調査は設計・販売・計画システム・ソリューション10品目、生産現場システム・ソリューション7品目、PA(Process Automation)システム・ソリューション7品目、ネットワーク・セキュリティ6品目、関連サービス(Service)5品目の市場の現状を調査し、将来を予想した。

 設計・販売・計画システム・ソリューションは、新型コロナウイルスの流行を契機としたDXニーズの高まりにより市場が拡大しているとして、各品目での単体システム・ソリューションの導入・更新・拡張に加え、システム・ソリューションの連携が本格化していると分析。新たなモノづくりプラットフォームの構築に向けた動きはさらに本格化し、今後も市場拡大が予想されるとみる。25年の同市場は20年比56.4%増の2兆5537億円と予測する。

 生産現場システム・ソリューションは、DXニーズの高まりを背景に業務の効率化など主目的とした生産現場のデジタル・IT化が加速しており、市場拡大が続いていると分析。生産現場における様々な課題の解決に向け、各システム・ソリューションの導入が進んでいるとともに、エリアや業界、企業規模を問わず導入ユーザーのすそ野が広がっていることも市場拡大を後押ししているとみる。今後、多品種少量・変種変量生産への対応に向け、このカテゴリーの需要はさらに増加するとみられ、特に、スマートグラスやARプラットフォーム、ロボット遠隔ソリューションなどの伸びが期待されるとみている。25年の同市場は20年比2.7倍の3567億円と予測する。

 PAシステム・ソリューションについて今後、現実の世界から収集した様々なデータをコンピュータ上で再現するデジタルツインの中核製品としてプロセスシミュレーターの伸びが期待されるとみる。製薬などライフサイエンス分野での着実な需要増加とともに、化学や食品分野で採用拡大が期待されると分析する。設備保全管理システムはプラントの設備保全におけるデジタル化に不可欠な製品として、また、安全対策ソリューションは作業員の安全確保を目的として需要増加が予想されるとみる。25年の同市場は20年比13.3%増の2兆1976億円と予測する。

 ネットワーク・セキュリティについて、近年はより広いエリアで多くの機器の制御を遅延なく行うことや遠隔制御ニーズに対応することを目的に、工場向けセルラー基地局の需要が急増。加えて、ネットワーク化の進展に伴い、外部からのサイバー攻撃やIoT機器のウイルス感染への対処などの必要性が高まっており、制御システム向けファジングツールやFA UTM/次世代ファイアウォールは今後も堅調に伸びるとみられると分析する。25年の同市場は20年比2.6倍の5331億円と予測する。

 関連サービス(Service)は、20年前半は投資が抑えられていたが、後半はテレワーク環境に適した提供形態やメニューの拡充により、クラウドサービス(製造業向け)やオンデマンド部品調達プラットフォームなどが順調に伸びたと分析。21年以降、新型コロナ流行を契機に従来の生産体制を見直す動きがさらに強まるとみられ、各サービスの需要が増加するとみる。25年の同市場は20年比2.7倍の9982億円と予測する。

https://www.fuji-keizai.co.jp/file.html?dir=press&file=22014.pdf&nocache
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