脱炭素に向けた取組をしている中小企業の割合は?(2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた㉝)

統計・調査記事
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毎年、経済産業省中小企業庁から発行される中小企業白書。2022年版の白書は表紙から参考文献などを含めると590ページに及ぶ。そこで、統計データを、中小企業に関係する者が参考にしやすいように抜粋して、回数を分けて紹介する。第33回目は脱炭素化に向けた取組についてまとめた。

ユニークアイズサマリー:今回は脱炭素化に向けた取組についてである。既に脱炭素化に向けた取組を実施している企業の割合は17.4%だった一方で、「今後も実施する予定はない」と回答した企業は51.5%と脱炭素化に向けた取組が十分に進んでいない。会社の規模別にみると規模の大きい企業ほど脱炭素化に取り組んでいる割合が高い。取引先からの脱炭素に向けた要請状況では多くの企業がまだ求められていないが、従業員規模が大きいほど、求められている割合が高い。すでに行っている脱炭素の取り組み(複数回答)では、「エネルギー効率の高い機器・設備の導入」が73.1%となった。次いで「太陽光発電設備の設置」、「電化の促進」、「使用エネルギーの見える化」が30%前後との結果になった。

この結果は少し前のデータになるが、多くの中小企業が脱炭素に対する取り組みをしておらず、まだ取引先からの要請も少ないという結果になった。筆者の肌感感覚でも、大企業が具体的な取り組みを始めている段階で中小企業にはまだ落ちてきていない。取り組みを始めた中小企業も、まずは省エネや電力の見える化など手軽に身近なところから始めている印象だ。ただ、現時点で脱炭素化の流れは止まることはなく、政府が掲げた2050年のカーボンニュートラル化に向けて進んでいく。製品単位のCO2排出量も求められるようになっていき、脱炭素化の流れに乗り遅れた企業は淘汰される可能性もある。

※以下、本文中の文章は「中小企業白書 2022」から一部抜粋したもの。
※本記事の図はすべて「中小企業白書 2022」から抜粋しているが、元データの参照元は図表内に記載されている。

脱炭素化に向けた取組

脱炭素化に向けた取組の実施状況

第2-2-139図は脱炭素化に向けた取組の実施状況を確認したものである。既に脱炭素化に向けた取組を実施している企業の割合は17.4%となっており、脱炭素化に向けた取組についても十分には進んでいないことが分かる。

(出典:中小企業白書 2022)

従業員規模別の脱炭素化に向けた取組の実施状況と取引先からの脱炭素化に向けた取組の要請状況

続いて、第2-2-140図は脱炭素化に向けた取組の実施状況を、従業員規模別に確認したものである。従業員規模の大きい企業ほど脱炭素化の取組を実施している企業の割合が高いことが分かる。また、第2-2-141図は、取引先からの脱炭素化に向けた取組の要請状況を、従業員規模別に確認したものである。従業員規模の大きい企業ほど脱炭素化の取組を取引先から要請されている企業の割合が高いことが分かる。従業員規模が大きい企業においては、取引先から取組を求められ、それに対応する形で脱炭素化に向けた取組を実施している企業の割合が高くなっている一方で、従業員規模が小さい企業では、取引先からの対応をあまり求められておらず、取組を実施している企業の割合が低くなっている可能性が考えられる。

(出典:中小企業白書 2022)
(出典:中小企業白書 2022)

脱炭素化の取組内容

続いて、脱炭素化に向けた取組を実施している企業の取組内容について確認すると、「エネルギー効率の高い機器・設備の導入」の回答割合が最も高くなっており、次いで「太陽光発電設備の設置」、「電化の促進」、「使用エネルギーの見える化」の回答割合が高くなっていることが分かる(第2-2-142図)。

(出典:中小企業白書 2022)
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