4月の企業倒産は610件、物価高倒産10ヵ月連続で最多更新、人手不足倒産は急増 帝国データバンク調べ

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帝国データバンクは11日、2023年4月の企業倒産件数を発表した。4月の倒産件数は、前年同月比25.3%増の610件で12か月連続で前年同月を上回った。前月に比べると190件(23.8%減)少なく、3カ月ぶりに前月を下回ったが、2カ月連続で600件を超えた。

出典:帝国データバンク

業種別では全業種で前年同月を上回った。「サービス業」が145件(前年同月比4.3%増)で最多、「建設業」(133件、同56.5%増)が続いた。「小売業」(121件、同28.7%増)、「製造業」(79件、同43.6%増)、「卸売業」(68件、同30.8%増)は前年同月に比べて20%以上増えた。

出典:帝国データバンク

倒産の主要因では、「販売不振」が481件(同37.4%増)で最も多く、全体の78.9%を占めた。

業歴別では、「30年以上」が206件(同17.7%増)で最も多く、全体の33.8%を占めた。このうち、老舗企業(業歴100年以上)の倒産は5件だった。「3年未満」(27件、同3.8%増)、「5年未満」(52件、同92.6%増)、「10年未満」(93件、同3.1%減)を含めた業歴10年未満の「新興企業」(172件、同15.4%増)は、9カ月連続で前年同月比2ケタの増加率となった。

出典:帝国データバンク

同調査では「注目の倒産事例」として「物価高倒産」、「人手不足倒産」なども併せて発表した。4月の物価高倒産は75件(前年同月比525.0%増)で、10ヵ月連続で最多を更新した。今後についても「全体の倒産件数も増加基調のなか、物価高に起因した倒産はハイペースで増加しており、今後も高水準で推移していくものとみられる」と同社は分析する。全体の倒産件数は、3月(800件)から4月(610件)に減少したが、物価高倒産は3月の67件から4月は75件と、全体の倒産件数に反して増加している。

出典:帝国データバンク

物価高倒産を業種別をみると、「建設業」(23 件、構成比31%)がトップで、次いで「製造業」「運輸業」(各 13 件、同17%)、「サービス業」(12 件、同16%)と続いた。建設業では資材高の影響を受けた木造建築工事業者や土木工事業者が多く、製造業では食料品や印刷など多方面にわたった。

物価高倒産の要因別では、「エネルギーコスト」と「人的コスト」が25.0%で最多だった。次いで、「包装・資材」(22.7%)、「原材料」(20.5%)と続いた。

4月の「人手不足倒産」は30件(前年同月比328.6%増)判明し、13年1月の集計開始以降で最も多かった。業種別では「建設業」、「サービス業」がそれぞれ11件で最多。慢性的なドライバー不足に悩む「運輸業」も2件発生した。同社は「アフターコロナが本格化する一方で人手不足リスクが急激に深刻さを増しつつある。各業界で人材獲得競争も過熱するなか、中小企業の人手不足により事業の継続ができなくなるリスクが上昇している」と指摘する。

4月の「コロナ融資後倒産」は40件(同25%増)発生し、4か月連続で40件以上となった。同社は「時間の経過とともに(コロナ融資後倒産の)発生件数の水準が高まっており、とりわけゼロゼロ融資の取り扱いが開始してから3年目となる22年3月以降は加速度的に増加している。キャッシュフローの急激な悪化に耐え切れず、コロナ融資の返済がままならない企業が事業継続を『あきらめる』事態が相次ぐことが懸念される」と警鐘を鳴らす。

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