日本企業の「脱ロシア」の動きは鈍化 帝国データバンク調べ

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 ロシアによるウクライナ侵攻から約3か月が経った中、日本企業の「脱ロシア」の動きが鈍化している。帝国データバンクが19日に発表した「⽇本企業の「ロシア進出」状況調査(5 月)」によると、2022年2月時点でロシアへの進出が判明した国内上場企業168社のうち、5月17日までにロシア事業の停止や制限・撤退を発表・公開した企業は、4割にあたる71社だった。ただ、5月時点でロシア事業の停止を表明した企業は前月から11社の増加にとどまり、4月時点の増加数(+23社)の半数以下と大幅に減少した。将来的な事業再開・撤退についても言明を避けるケースが多く、ロシア事業をめぐっては各社で温度差が見られる。

 事業の停止や中断となった企業の内訳では、製品の出荷・受注などを含む「取引停止」が 33 社で最も多かったものの、4 月(31 社)からは 2 社の増加にとどまった。次いで現地工場の稼働停止な「生産停止」(14 社)が続き、同 3 社増加。店舗や、現地の販売活動などを含めた「営業停止」は 10社で、前月から 1 社増加した。

 同調査では、日本企業もロシアと距離を置く動きが進んでいるが、「事業を見直す企業でも、将来的な事業再開の可能性を含む取引の停止などにとどめるケースが多い」として「多額の損失を計上しつつもロシア事業からの全面撤退を表明する欧米企業と日本企業の温度差が、ここに来てより鮮明となっている」と分析。

 グローバル企業を中心にロシア市場からの完全撤退を迫られるケースが今後も増えてくるとみられるが「市場再参入のハードルが高い」など課題も多く、「事態の見極めとロシア事業の将来性を鑑みた難しい判断が求められる」と指摘している。

日本企業の「ロシア進出」状況調査(5月)| 株式会社 帝国データバンク[TDB]
日本企業「脱ロシア」の動き鈍化 ロシア事業停止4割、増加数は前月から半減 〜 ロシアから「全面撤退」相次ぐ欧米企業との温度差鮮明に 〜
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