(速報版)中小企業の価格交渉調査の結果は? 中小企業庁

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経済産業省・中小企業庁は28日、「価格交渉促進⽉間(2023年9⽉)フォローアップ調査の結果について(速報版)」を発表した。前回調査(2023年3月時点)と比較して、価格交渉については「価格交渉しやすい雰囲気が徐々に醸成されつつある」とし、価格転嫁についても「価格転嫁の裾野は広がりつつある」との結果(概要)だった。

同調査は、中小企業・小規模事業者を対象に主な発注企業との間で、どの程度価格交渉・価格転嫁が行われたかを問うアンケート調査。調査期間は10月10日~11月10日で、回答企業数は35,175社(回答から抽出される発注側企業数は延べ42,924社)だった。

価格交渉の状況について、「発注側企業から交渉の申し⼊れがあり、価格交渉が⾏われた」割合は、3⽉時点の7.7%から14.4%にほぼ倍増した。また「価格交渉を希望したが、交渉が⾏われなかった」割合は7.8%と3月時点の17.1%から約10ポイントも減少した。さらに「コストが上昇せず、価格交渉は不要」と回答した受注企業の割合は16.4%となり、3⽉時点の7.7%から約8ポイント増加。コスト上昇が⼀服、あるいは既に価格転嫁(値上げ)出来たため、価格交渉を不要と考える企業が増加したとみられる。これらのことから「価格交渉できる雰囲気は醸成されつつある」と分析する。

(出典:経済産業省・中小企業庁)

業種別の価格交渉状況のランキング(価格交渉に応じた業種)では、「造船」が前回(23年3月調査)に続き1位だった。「機械製造(2位)」、「化学(3位)」、「⾃動⾞・⾃動⾞部品(8位)」などが3⽉調査よりも5段階以上、順位が上昇した。一方で、「繊維(7位)」や「建材・住宅設備(17位)」、「飲食サービス(19位)」などが5段階以上、順位を下げる結果となった。

(出典:経済産業省・中小企業庁)

価格転嫁の状況については、「全く転嫁できなかった」、「コストが増加したのに減額された」割合の合計は3月時点23.5%→20.7%に減少し、価格転嫁の裾野は広がりつつある。ただ、コスト全体の転嫁率は、3⽉時点より微減(47.6%→45.7%)となり、交渉だけでなく、より⾼い⽐率での転嫁が課題としている。

(出典:経済産業省・中小企業庁)

価格転嫁率を業種別に前回(3月)調査との比較すると、「化学」、「⾃動⾞・⾃動⾞部品」などの12業種が3⽉時点と⽐較して転嫁率が上昇した一方で、「食品製造」や「卸売」、「造船」などの業種で転嫁率が低下した。

(出典:経済産業省・中小企業庁)

今後については中小企業庁は「価格交渉できる雰囲気は醸成されつつあるが、価格転嫁率のさらなる向上に向けて、中⼩・⼩規模事業者の賃上げ原資を確保するためにも、公正取引委員会等とも連携し、『労務費の指針の公表』や『企業リストの公表』などの価格転嫁対策を進めていく」としている。

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