これを実践すれば、会社業績が良くなるはず? 2023年度版中小企業白書の統計を抜粋してみた(その1)

統計・調査記事
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毎年、経済産業省・中小企業庁から発行される中小企業白書。2023年度は4月28日に閣議決定され公表された。各種メディアでは解説記事などはすでに出ているが、ユニークアイズでは、中小企業白書で紹介している統計の中で「〇〇を実践している企業は〇〇を行っていない企業と比べて売上高増加率が高い」といった統計を抜粋していく。ここに記載があることを実践すれば「統計的に会社業績がよくなるはず?」と願い紹介する(次回以降、毎週水曜日更新)。

※以下、【ユニークアイズ解説】の項目以外の文章は「2023年度版中小企業白書」から一部抜粋したもの。
※本記事の図はすべて「2023年版中小企業白書」から抜粋しているが、元データの参照元は図表内に記載されている。

経営戦略策定時に選定した市場の特徴別に見た、売上高増加率と付加価値額増加率の水準

【ユニークアイズ解説】統計データを紹介する前に、まずパート(中小企業白書第2部_第1章_第1節_1. 成長に向けた戦略の策定)の概要を説明する。このパートは「成長に向けた戦略の策定」と題して、経営戦略の策定している企業の割合やどのような検討プロセスを行ったかを紹介。直近10年間で経営戦略を策定した企業は71.4%に上る。経営戦略を策定した際の検討プロセスでは「自社の経営資源の分析を起点とした」割合が58.1%で、「ターゲットとする市場の分析を起点とした」割合が36.0%だった。その中で経営戦略を策定した際に最終的に選定した市場の特徴として、「競合他社が多い市場/どちらかといえば競合他社が多い市場」と回答した企業が52.3%、「競合他社がほとんどいない市場/どちらかといえば競合他社が少ない市場」と回答した企業が47.7%という結果だった。以下が、それを踏まえた売上高増加率と付加価値額増加率の水準のデータである。


第2-1-10図は、経営戦略策定時に選定した市場の特徴別に、売上高増加率と付加価値額増加率の水準(中央値)を見たものである。これを見ると、「競合他社が少ない市場」を選択した企業は、「競合他社が多い市場」を選択した企業よりも、売上高増加率と付加価値額増加率の水準がいずれも高いことが分かる。中小企業の成長パターンは多様であり、今回の調査だけで一概にはいえないものの、競合他社が少ない市場への参入や市場の創出が企業の成長につながる可能性が示唆される。
※付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費+賃借料+租税公課。

(出典:2023年度版 中小企業白書)

競合他社が多い市場を選定した理由別に、付加価値額増加率の水準

【ユニークアイズ解説】こちらも上記で紹介した同じパートの統計となる。上記では、「一概にはいえないものの、競合他社が少ない市場への参入や市場の創出が企業の成長につながる可能性が示唆される」とあるが、一方で、競業他社が多い市場を選定しながらも成長している企業は存在する。協業他社が多い市場を選定した理由別に付加価値額増加率の水準をみたデータが下記である。


第2-1-12図は、競合他社が多い市場を選定した理由別に、付加価値額増加率の水準(中央値)の差を見たものである。これを見ると、「非効率な部分を標準化して効率化することで、競争優位に立つことが可能」において、「当てはまる」と「当てはまらない」の付加価値額増加率の水準の差が最も大きくなっている。今回の調査結果だけで一概にはいえないものの、競合他社の多い市場に参入し成長を実現するためには、標準化を通じた効率化が重要である可能性が示唆される。

(出典:2023年度版 中小企業白書)

【ユニークアイズ解説】本記事では2つの統計を紹介した。経営戦略を策定していることが前提であるが、競合他社が少ない市場への参入が売上高増加率や付加価値額増加率が高いことが分かった。一方で協業他社が多い市場を選定した企業の中でも、標準化を通じた効率化をすることで付加価値額増加率が高くなっている。

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