企業のBCP対策は進んでいるのか? 帝国データバンク調べ

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帝国データバンクは26日、「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2023年)」を発表した。BCPを策定している企業の割合18.4%で、「策定意志あり」の企業を含めても48.6%と3年連続で5割を下回った。自然災害だけでなく、不穏な海外情勢やサイバー攻撃、新型コロナウイルス拡大で浮き彫りになった事業リスクなど、企業には時代に応じた危機管理が求められている。

BCPを「策定している」企業は18.4%で前回調査(22年5月)から0.7ポイント増加し、6年連続で増加している。一方で、「現在、策定中」(7.5%、同0.1 ポイント減)、「策定を検討している」(22.7%、同1.9 ポイント減)はそれぞれ減少し、BCP に対して「策定意向あり」(「策定している」「現在、策定中」「策定を検討している」の合計)とする企業は48.6%(同1.3ポイント減)となった。

(出典:帝国データバンク)

BCP 策定率を規模別にみると、「大企業」が 35.5%(同1.8ポイント増)、「中小企業」が 15.3%(同 0.6ポイント増)だった。

BCPについて「策定意志あり」とする企業に、どのようなリスクによって事業の継続が困難になると想定しているか尋ねたところ(複数回答)、地震や風水害、噴火などの「自然災害」が 71.8%となり、最も高かった。次いで、「設備の故障」(41.6%)が続いた。5月に新型コロナ感染症が5類に移行したこともあり、「感染症」(40.4%)は前回から13.1ポイントも低下した。

(出典:帝国データバンク)

さらに「策定意向あり」とする企業に対して、事業中断リスクに備えた実施・検討内容を尋ねたところ(複数回答)、「従業員の安否確認手段の整備」が 68.2%で最も高かった。次いで「情報システムのバックアップ」が 57.1%、「緊急時の指揮・命令系統の構築」が 41.0%で続いた。
「大企業」では従業員の安否確認や情報システムの管理などの備えを重視し、「中小企業」では「調達先・仕入先の分散」や「代替生産先・仕入先・業務委託先・販売場所の確保」といったサプライチェーンに関する備えが「大企業」と比較して高い結果となった。

(出典:帝国データバンク)

一方でBCP を「策定していない」企業に策定していない理由を尋ねたところ(複数回答)、「策定に必要なスキル・ノウハウがない」が 42.0%で最も高かった。次いで、「策定する人材を確保できない」が 30.8%、「策定する時間を確保できない」が 26.8%で続いた。
「大企業」では「策定する人材を確保できない」(36.4%)などリソース不足によって策定できないと考える企業が「中小企業」と比較して高かった。一方、「中小企業」では「必要性を感じない」(21.6%)が「大企業」と比較して7.2ポイントも高かった。

(出典:帝国データバンク)

同調査では「ポストコロナに向けて経済活動が加速していくなか、BCP 策定への取組みに対する意識や優先順位が下がる傾向がある。しかし、BCP の準備を怠ることで経済活動に与えるマイナスの影響は大きく、企業、行政が連携して対策を講じていくことが求められよう」と指摘する。

帝国データバンクが5月18-31日に調査を実施し、有効回答企業数は1万1,420社(うち中小企業・小規模企業は9,655社)だった。

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