【中小企業インタビュー】Creative Works代表・宮本卓氏 データに基づく新しい溶接研修をウェルディングショーで訴求

インタビュー
この記事は約4分で読めます。

 自他ともに認める溶接マニアが溶接業界に新しい風を吹き込む―。東京工業大学大学院で金属工学を専攻し、東京都立城東職業能力開発センターで溶接科の講師を8年間務める宮本卓氏が代表のCreative Works(東京都江戸川区)。13日から始まった日本最大の溶接・接合、切断技術専門展示会「2022国際ウェルディングショー」に同社で初めて出展。同展示会では、IoTツールを用いて、技能を見える化し、人材育成、技能伝承をスムーズに行える溶接研修を訴求する。出展内容や抱負について宮本代表に聞いた。

簡単な事業紹介をお願いします。

 祖父・父が宮本工業所を東京都江戸川区で営んでいたが、残念ながら父の代で宮本工業所は解散になった。宮本工業所の土地や機材などを引き継ぐ形でCreative Worksを2012年に登記し、活動を開始した。溶接の請負業務や東京都立城東職業能力開発センターなどでの講師業、「宮本溶接塾」を中心とした個人・企業への溶接の技術支援などを行っている。今回の展示会では、クリエイティブ式溶接(仮称)と名付けた職人の勘や技術だけでないデータに裏付けされた溶接研修を訴求する。

では出展内容をもう少し詳しくお願いします。

 今までの溶接研修は、熟練者の技術や経験を基にアナログ的に行っていることが多かった。勘や個人のスキルなどの感覚的なものに頼っている事も多く、受講者の成果が客観的に見えづらいという課題があった。

 当社が今回出展する溶接研修はITや客観的なデータを活用して、理想の溶接条件を探り、再現性の高い確実な溶接技能の向上を目指している。職人の溶接姿勢などを動画で記録し、ハイスピードカメラで溶融地の鮮明な映像を撮影、電流センサーなども用いて徹底的に可視化、データ化できるシステムを構築した。そのデータを基に、模範となる熟練職人のデータとの差を可視化し、検証する。経験豊富な講師が寄り添って研修を行うため、技能向上はもちろんのこと、データに基づいた実施報告書により、受講生だけでなく社長や上長などの管理側にも成果を共有できるのが特徴だ。

 溶接技術の向上だけでなく、現場(個社)ごとに異なる課題の解決をサポートできるのも本研修のもう一つの特徴だ。「研修」という言葉は、座学で基礎を学び、決まったカリキュラムを実行して、技能習得をするイメージが強いと思う。本研修では、事前のヒアリングを通して個社の課題を抽出、課題解決のためのカリキュラムを作成し、実施する流れとなる。技能向上だけでなく、実際の現場の課題解決に直結する内容となっている。例えば、「協力会社にお願いしていた溶接工程を内製化したい」という課題があったときに、その課題に寄り添った内容を組み立てて研修を行うことができる。同様の企業研修の実績は約20社ほどある。

法人向け溶接研修の流れ

今回の出展内容に関して、他社との差別化のポイントはなんでしょうか。

 自社で現場と講師、分析機器を保持していていながら企業の個別課題を解決する、いわば製造技術のコンサルティングを行っている会社は、あまりないと思っている。溶接業界をみてみると、例えば溶接技術を習得したい場合は職業訓練校や業界団体の講習会などがある。分析は公設試などで行える。自社で難しい溶接業務は、外注化することで対応している企業が多いと思う。当社は、溶接技術の習得を研修プログラムとして実施し、分析もできる一貫した新しいサービスを構築したと自負している。

今回は今野製作所(東京都足立区)、エー・アイ・エス(東京都江戸川区)との3社での共同出展となります。

 今回は「アナログでしか伝えられなかったものをデジタルの仕組みを活用して伝えていく」ことがメインになる。その基となるデータ作りを東京都立産業技術研究センターの支援をもらいながら、2社と共同開発してきた。研究開発の成果は2社の現場と職人たちの人材育成に活用していて、具体的な成果が出ている。その実績を基に抽象化してサービスにしたのが今回の溶接研修になっている。

今回の出展での目標は?

 まだ認知度はそう高くはないと思うので、引き合いは5社を目標、そのうち1社でも成約できたらと思っている。「溶接研修」という名なので、溶接を行っている企業が対象と思われがちだが、溶接現場を持っていない企業にも訴求できる内容だ。例えば、施工管理をする企業であれば、品質を担保しなければいけないので、溶接技術を身に着ける実地研修としても活用できると思う。まずは当社ブースまで足を運んでほしい。

Creative Works出展している2022 国際ウエルディングショーのHPはこちら


今回はウェルディングショーの出展内容に特化した記事ですが、Creative Worksの事業の詳細、今後の展開などの記事を今後掲載していく予定です。


ユニークアイズでは、製造業の中堅中小企業の取材先を募集しています。
詳しくはこちらをご覧ください。

PAGE TOP