これを実践すれば、会社業績が良くなるはず? 中小企業白書にある統計を抜粋してみた(その6)

統計・調査記事
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毎年、経済産業省・中小企業庁から発行される中小企業白書。今年は4月28日に閣議決定され公表された。各種メディアでは解説記事などはすでに出ているが、ユニークアイズでは、中小企業白書にある統計の中で「〇〇を実践している企業は〇〇を行っていない企業と比べて売上高の増加率が高い」といったポジティブな統計を抜粋していく。ここに記載があることを実践すれば「統計的に会社業績がよくなるはず?」であると願い、6回目の今回は「経営の透明性と売上高増加率」の関係についてのデータを紹介する(毎週水曜日更新)。

※以下、【ユニークアイズ解説】の項目以外の文章は「2023年度版 中小企業白書」から一部抜粋したもの。
※本記事の図はすべて「2023年版 中小企業白書」から抜粋しているが、元データの参照元は図表内に記載されている。

経営の透明性を高める取組の実施状況別に見た、売上高増加率の水準

【ユニークアイズ解説】統計データを紹介する前に、まずパート(中小企業白書第2部_第1章_第3節_3. ①経営の透明性を高める取組)の概要を説明する。会社の経営戦略の実行は経営者だけでなく、組織全体で取り組む必要があると考えられ、社員が能力を発揮しやすい環境整備も戦略実行のカギとなる。このパートでは経営の透明性を高める取組に関する調査データを紹介。まず、約7割の企業が経営の透明性を高める取組を実施しており、取り組みを始めたきっかけは、「従業員の増加」が最も多く、次いで「経営者の交代」だった。経営の透明性を高める具体的な取組としては、「経営計画の共有」、「経営課題の共有」は7割以上の企業、「決算情報の共有」、「意思決定プロセスの明確化」は6割以上の企業、「人事評価制度の明確化」、「報酬制度の明確化」は5割以上の企業が「十分実施している」、「ある程度実施している」と回答。そうした状況を踏まえ、以下が「経営の透明性を高める取組の実施状況別に見た、売上高増加率の水準」のデータである。


第2-1-63図は、経営の透明性を高める取組の実施状況別に、売上高増加率の水準(中央値)を見たものである。これを見ると、経営の透明性を高める取組を実施している企業は、実施していない企業に比べて、売上高増加率の水準が高いことが分かる。

(出典:2023年度版 中小企業白書)

【ユニークアイズ解説】今回は経営の透明性を高める取り組み実施有無によって売上高増加率が違うという記事だが、透明性を高める取り組みは「従業員や経営幹部との信頼関係の構築」や「従業員のモチベーション向上」、「定着率の向上」などにも効果が出てる傾向にあるというデータもある。

筆者は新卒で中小企業に営業職で5年間勤めていた。当時を今振り返ると「経営理念」や「売上目標」は示されていた記憶があるが、それ以外については記憶がない(経営の透明性があまり高くなったというイメージだ)。もしかしたら示されていたかもしれないが、おそらく当時(若手)の筆者は自分事として考えていなかっただろう。自身の経験からも透明性を高めると言っても、情報を開示(共有)するだけでは、特に一般社員に対しては効果が薄いだろう。その情報を開示するだけでなく、部署・個人の目標や評価に落とし込むことが重要と言えよう。

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