【保存版⑨】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(新型コロナ感染症下の中小企業政策編)

統計・調査記事
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毎年、経済産業省中小企業庁から発行される中小企業白書。2022年版の白書は表紙から参考文献などを含めると590ページに及ぶ。そこで、製造業に関係する統計データを、製造業に関係する者が参考にしやすいように抜粋して、数回に分けて紹介する。第9回目は新型コロナ感染症下の中小企業政策についてまとめた。

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【保存版①】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(国内経済の現状編)
【保存版②】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(中小企業事業者の現状編)
【保存版③】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(雇用の動向編)
【保存版④】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(原油・原材料価格の高騰編)
【保存版⑤】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(事業継続計画の取り組み編)
【保存版⑥】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(労働生産性と分配編)
【保存版⑦】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(経営資源の有効活用編その1)
【保存版⑧】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(経営資源の有効活用編その2)

「中小企業白書 2022」の全文はこちら

※以下、本文中の文章は「中小企業白書 2022」から一部抜粋したもの。
※本記事の図はすべて「中小企業白書 2022」から抜粋しているが、元データの参照元は図表内に記載されている。

持続化給付金の件数の推移

感染症の影響を受ける事業者の事業継続を下支えするため、持続化給付金や家賃支援給付金などによる支援が実施された。第2-1-25図は、持続化給付金の申請件数の推移を、第2-1-26図は給付件数の推移を見たものである。持続化給付金は、2020年5月1日に申請受付を開始し、事業終了の21年3月末時点で全体の申請件数は約441万件、給付件数は約424万件、給付総額は約5.5兆円となった。

(出典:中小企業白書 2022)
(出典:中小企業白書 2022)

持続化給付金 資本金別売上減少率

第2-1-29図は、持続化給付金の給付対象企業において、資本金別の売上減少率を見たものである。資本金が250万円以下の企業を売上減少率が小さい順に並べ変えて分布を見た場合、75%の位置にある企業の売上減少率は約9割を占める。持続化給付金は、単月で50%以上の売上減少が支給基準の一つとなっているが、基準を大きく超えて売上げが減少した企業が多いことが分かる。

(出典:中小企業白書 2022)

家賃支援給付金の件数の推移

第2-1-30図は、家賃支援給付金の申請件数の推移を、第2-1-31図は給付件数の推移を見たものである。家賃支援給付金は、事業終了の21年3月末時点で全体の給付件数は約104 万件、給付総額は約9,000億円となった。

(出典:中小企業白書 2022)
(出典:中小企業白書 2022)

雇用調整助成金の支給決定件数の推移

第2-1-34図は、雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)の支給実績について見たものである。雇用調整助成金は、20年1月24日以降の期間、感染症の影響を受けて事業が縮小した事業者に対して累次の特例措置を講じ、22年3月4日までに約592万件、約5.4兆円の支給を行った。

(出典:中小企業白書 2022)

政府系金融期間における融資承諾件数の推移

感染症の影響を受ける事業者の資金繰りを下支えするため、政府系金融機関や保証協会制度を利用した民間金融機関による融資が実施された。第2-1-37図は、政府系金融機関である(株)日本政策金融公庫及び(株)商工組合中央金庫における融資承諾件数の推移について見たものである。(株)日本政策金融公庫は、外的要因により一時的に業況が悪化している企業への貸付制度「セーフティネット貸付」に加えて、20年3月17日に「新型コロナウイルス特別貸付」の取扱いを開始し、申込みが急増した。また、(株)商工組合中央金庫でも危機対応業務の一つとして「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を立ち上げ、申込みが急増した。21 年においては、融資承諾件数が再び急増することはなく、足元でおおむね横ばいとなっている。

(出典:中小企業白書 2022)

政府系金融機関における中小企業向け新型コロナ対策資本性劣後ローンの承諾件数の推移

第2-1-38図は、政府系金融機関である(株)日本政策金融公庫及び(株)商工組合中央金庫における新型コロナ対策資本性劣後ローンの承諾件数の推移について見たものである。資本性劣後ローンは、借入金でありながら、民間金融機関等の債務者の評価において、「自己資本」と見なして取り扱うことが可能であり、借り手の企業にとっては、債務超過の解消等で財務の安全性が高まったという評価を得ることで、民間金融機関から追加融資を受けやすくなる効果が期待できるものである。令和2年度第2次補正予算で措置され、20年8月から取扱いを開始。22年2月末時点で、約6,100 件、約8,700 億円の融資を承諾している。

(出典:中小企業白書 2022)

信用保証協会の保証承諾件数の推移

第2-1-39図は、信用保証協会への信用保証の承諾件数の推移について見たものである。20年3月までにセーフティネット保証4号、同5号、危機関連保証の認定制度が立ち上がり、5月1日から民間金融機関における実質無利子・無担保融資制度が立ち上がると、これに伴う信用保証の申込件数が急増した。この民間金融機関における実質無利子・無担保融資制度の申込みは21年3月末をもって終了した。

(出典:中小企業白書 2022)

伴走支援型特別保証制度の承諾件数の推移

その後、21年4月より、金融機関による中小企業に対する継続的な伴走支援や経営行動計画書の作成等を条件に、信用保証料の事業者負担を大幅に引き下げる「伴走支援型特別保証制度」が設けられた。週次の承諾件数にはばらつきがあるものの、承諾件数は21年末にかけて増加した(第2-1-40図)。

(出典:中小企業白書 2022)

中小企業再生支援協議会一次相談対応件数の推移

既存の借入金の返済猶予に関する相談については、金融機関のほか、中小企業再生支援協議会にも窓口が設置された。第2-1-42図は、20年4月以降の中小企業再生支援協議会における一次相談対応件数の推移について見たものである。20年4月1日に「新型コロナウイルス感染症特例リスケジュール実施要領」が制定されると、中小企業再生支援協議会に対する支援の相談が増加した。21年は相談件数が減少したが、足元は再び増加傾向にあり、一定水準を保って推移している。

(出典:中小企業白書 2022)

中小企業向け貸出残高の推移(金融機関業態別)

第2-1-43図は、中小企業向け貸出残高の推移について、中小企業向けに貸出しを行う金融機関の業態別に見たものである。減少傾向にあった政府系金融機関の貸出残高が20年に入り大幅に増加していることが分かる。また、リーマン・ショックの起きた08年以降は、国内銀行・信託では貸出残高が減少傾向にあったが、感染症下では大幅に増加している。民間金融機関においても、実質無利子・無担保融資制度を活用しながら、積極的な融資姿勢を示したことが推察される。

(出典:中小企業白書 2022)
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