【中小企業インタビュー】9月に就任した新社長がまず取り組んだこととは? テック大洋工業 鳥潟社長(後編)

インタビュー
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テック大洋工業(東京都大田区、鳥潟佑樹社長)は、10月に「第34回大田区中小企業新製品・新技術コンクール」で最優秀賞を受賞した。同社は金属加工を得意として、動物園の檻などのオーダーメイド製品を手掛ける。さらに9月には代替わり(社長交代)し、新たな経営体制となった。9月に社長に就任した鳥潟佑樹社長に、コンクールで受賞した製品概要や材料費の高騰対策、今後の展望についてを前編(12月19日公開済み)で、後編では社長に就任してからの新たな取り組みなどを聞いた。

全社員との面談を実施

ー9月に社長に就任されました。入社した時から社長就任は意識されていましたか?

当社に入社したのは10年前の2002年で、入社前はサービス業界の仕事をしていた。入社時には、当時の鳥潟浩司社長(現会長)の跡を継ぐ決意で入社した。工場勤務や営業を経験したのちに、数年副社長として勤め2022年9月に社長に就任した。会社が成長するためには、社員の成長が非常に重要だと考える。数年前より全社員と面談を行い、ともに会社について考える機会を設けている。

静岡事業所第一工場(同社提供)

ー社員からはどのような声が聞かれましたか?

特に若手社員からは、「将来幹部として働きたい」や「もう少し技術的なことを学びたい」などポジティブな意見が出てきた。そういったこともあり、社員自ら行動して成長できる仕組みがあったほうが良いと考え、資格取得制度を新設した。業務に必要な資格であれば、受験費用などを会社が支援し、資格取得後は資格手当のような形で給料に反映する仕組みだ。

新しい社内表彰制度を新設

ーそのほか、新しい取り組みは?

この年末に、初めての取り組みとして社内の表彰制度を新設する予定だ。例えば、「周囲の人を一番助けた人」や「嫌な仕事を引き受けた人」などを社員同士で投票してもらい、MVPを選出する。社員のモチベーションを高めると同時に周りの社員が何をしているかも意識するようになると思う。また新卒採用についても、さらに力を入れていく。

ー新卒採用について、(少子化で)多くの企業から採用が厳しいとの話を聞きます。

他社と同様に当社も新卒採用には苦慮している。ただ、見せ方次第だと思っている。一番当社のことを知っている社員から、当社の良い面を聞き出して、それを率直にアピールする。良い面をうまく露出することで響く人はいると思う。今までは、そういった露出が弱かった面があったので、見せ方を工夫していく。そうした意識に変化に伴い実際に会社を見学してくれる学生の方が出てきた。

採用パンフレット(同社提供)

情報の見える化や評価制度の見直しも

ー社長として今後注力することは?

まず社内(社員)に対しては、「自分中心」ではなく「会社ファースト」で、ものごとが考えられるような社風を作っていきたい。そのためには、情報の見える化であったり、評価制度なども見直していきたい。社外に対しては(前編でも紹介した)製品に付加価値を付けていく。そういった新製品の開発に力を入れていく。


【編集後記】同社は公共事業案件がほぼ100%であり、ほとんどの製品はオーダーメイドというのも特徴だ。その中で今回、大田区のコンクールで最優秀賞を受賞した製品は同社の製品群と新たなモノを組み合わせた製品である。創業から74年続く企業に新社長が就任したことで、積み重ねてきた技術力に新しい風が吹き、さらなる発展していくことを期待する。


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