企業の電気料金、1年で4割増も十分な価格転嫁できず 総額の増加平均では製造業が突出 帝国データバンク調べ

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帝国データバンクは18日、「電気料金値上げに関する企業の実態アンケート(2023年4月)」を発表した。1年前と比べて電気料金の総額が増加した企業の割合は9割を超え、電気料金の総額は平均で39.4%増加した。さらに電気料金の増加分を価格転嫁できていない企業が6割近くいることも浮き彫りになった。

帝国データバンクが4月10-13日に調査を実施し、有効回答企業数は1,097社(うち中小企業・小規模企業は956社)だった。

電気料金の総額が1年前と比べて「【増加】20-40%未満」とした企業が全体の33.1%で最も高かった。次いで「【増加】40-60%未満」(21.1%)、「【増加】20%未満」(20.0%)が続いた。【増加】した企業の合計は93.6%に達し、9割超の企業で1年前より電気料金の総額が増加した。電気料金の総額は1年前より平均で39.4%増え、約1.4倍に増加した。

出典:帝国データバンク「電気料金値上げに関する企業の実態アンケート(2023年4月)」

会社規模別では、「電気料金増」と回答した大企業が91.5%、中小企業が93.9%。「総額の増加平均」は、大企業が37.5%増だったのに対し、中小企業は39.7%増と、中小企業の方が若干影響を受けていることがうかがえる。

業種別では、「電気料金増」と回答した企業の割合、「総額の増加平均」ともに、製造業がトップ(電気料金増企業の割合97.3%、総額増加平均50.9%)。「電気料金増」は、ほかの業種でもに90%を超える業種もあるため、製造業が突出しているとは言い難い。一方で「総額の増加平均」では製造業が50.9%増だったのに対し、次いで不動産業が同38.1%増、サービス業が同36.5%増と製造業とほかの業種で開きがあった。

電気料金の増加分を販売価格やサービス料金に「価格転嫁」できているかの質問に対して、「全く価格転嫁できていない」と回答した企業が57.2%と6割近くを占めた。
一方で、「多少なりとも価格転嫁できている」企業は42.8%だった。内訳は、電気料金の増加分に対し、「2割未満」と回答した企業が20.7%で最も多く、「2割以上5割未満」が10.1%、「5割以上8割未満」が7.1%で続いた。

上記の回答から算出した電気料金の増加分に対する販売価格等への転嫁割合を示す「価格転嫁率」は 14.9%に留まり、電気料金が100円増加した場合に 14.9円しか販売価格などに反映できていないことを示している。

出典:帝国データバンク「電気料金値上げに関する企業の実態アンケート(2023年4月)」

同リポートでは「電気料金の値上げによって企業負担が増し、収益環境の厳しい状況が続いているのが実情である。電気料金がコスト全体に占める割合は業種・業態によって差異はあるものの、電気料金の値上げが続くなかで価格転嫁が十分に進まなければ事業継続が難しくなる企業が増えそうだ」と警鐘をならす。

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