中小企業のSDGsや脱炭素化への取り組みは、まだ道半ば…(2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた㉜)

統計・調査記事
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毎年、経済産業省中小企業庁から発行される中小企業白書。2022年版の白書は表紙から参考文献などを含めると590ページに及ぶ。そこで、統計データを、中小企業に関係する者が参考にしやすいように抜粋して、回数を分けて紹介する。第32回目はSDGsの取り組みや脱炭素化に向けた温室効果ガス排出量の概要についてまとめた。

ユニークアイズサマリー:今回はSDGsの取り組みや脱炭素化に向けた温室効果ガス排出量の概要についてである。中小企業においても、SDGsの取り組みに対しての2019年の調査と21年10月の調査を比べると、SDGsを積極的に取り組み機運が高まってきている。ただ、取り組んでいる企業は全体の24%(21年10月調査)に留まる。脱炭素化に向けた温室効果ガス排出量の把握状況は、把握している企業の割合は16.5%となっている一方で、「今後実施する予定はない」と回答した企業の割合が5割を超えている。その中で業種別の把握状況では、建設業や製造業、運輸・郵便業は、既に実施している又は今後実施する方針の企業の割合が高い。

中小企業のSDGs、脱炭素化(カーボンニュートラル)の取り組みは「社会のニーズや顧客から求められたため」行っている企業も多いのでは?との印象を持つ。それは、これらの活動がすぐに利益を生むわけではないという印象があるからと推測する。ただ、有名は話では米アップルは取引先に脱炭素化を求めているなど、ビジネスをする上での条件となってきている。SDGsの取り組みをきっかけに露出を増やした企業もある。ただ現状は脱炭素化に向けた取り組みを実施していない企業が多い。中小企業の脱炭素化の取り組み内容や取り組まない理由については、次回掲載する。

※以下、本文中の文章は「中小企業白書 2022」から一部抜粋したもの。
※本記事の図はすべて「中小企業白書 2022」から抜粋しているが、元データの参照元は図表内に記載されている。

中小企業におけるSDGsの取組状況

感染症の影響が長引く中でも、SDGs への社会的な認知の高まりに代表されるように、グリーンや人権といった課題に対して企業も積極的に取り組む機運が高まってきている(第2-2-136図)。

(出典:中小企業白書 2022)

温室効果ガス排出量の把握状況

脱炭素化の動きに対応し、脱炭素化に向けた計画を策定していく上では、まずは現在の自社における温室効果ガスの排出量を把握することが重要となる。第2-2-137図は、中小企業における、自社が排出する温室効果ガスの排出量の把握状況を確認したものである。把握している企業の割合は16.5%となっている一方で、「今後実施する予定はない」と回答した企業の割合が5割を超えており、中小企業において自社の排出する温室効果ガスの排出量の把握自体が進んでいない状況が見て取れる。

(出典:中小企業白書 2022)

温室効果ガス排出量の把握状況(業種別)

続いて、第2-2-138図は業種別に確認したものである。建設業や製造業、運輸・郵便業において、既に実施している又は今後実施する方針の企業の割合が高くなっている。一方で、情報通信業においては、「今後実施する予定はない」と回答した企業の割合が高くなっており、業種によっても温室効果ガス排出量の把握状況に差がある様子が見て取れる。

(出典:中小企業白書 2022)
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