人手不足倒産が年半期で過去最多 帝国データバンク調べ

統計・調査記事
この記事は約2分で読めます。

帝国データバンクが10日に発表した「人手不足倒産」についての調査によると、従業員の離職や採用難などにより人手を確保できず、業績が悪化したことが要因となって倒産した「人手不足倒産」は、2023年上半期(1-6月)累計で110件だった。2013年の集計開始以降、年半期ペースで初めて100件を超え、過去最多を更新した。業種別では「建設業」が急増し、「運輸・通信業」も大幅増だった。また、従業員や経営幹部などの退職・離職が直接・間接的に起因した「従業員退職型」の人手不足倒産は2023年上半期に33件判明。「従業員退職型」の倒産も通年で過去最多(2019年:71件)に達するペースで推移している。

(出典:帝国データバンク)

人手不足倒産を業種別でみると、「建設業」が45件で最も多く、全体の約4割を占めた。前年同期(15件)の3倍で、急増が顕著だった。現場の職人のほか、施工管理など有資格者の不足や退職により事業の継続が困難となったケースが目立った。また、「運輸・通信業」(20件)も、前年同期から2.2倍に増加した。従来から続く慢性的なドライバー不足に加え、「2024年問題」やドライバーの高齢化も課題となっており、「人手不足リスク」がさらに高まる可能性がある。

(出典:帝国データバンク)

同調査では「4年ぶりの行動制限の無い夏季シーズンを迎え、急速な需要増加による人材獲得競争が予想されるなか、足元では賃上げ機運の高まりによる人件費の高騰が企業に重くのしかかる。建設業や運輸業などコロナ禍前より人材不足に悩む業種において、賃上げに踏み切れない、人材確保が困難な状況にある中小企業を中心に、『人手不足倒産』は高水準で推移していく可能性がある」と指摘している。

PAGE TOP