これを実践すれば、会社業績が良くなるはず? 2023年度版中小企業白書の統計を抜粋してみた(その3)

統計・調査記事
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毎年、経済産業省・中小企業庁から発行される中小企業白書。今年は4月28日に閣議決定され公表された。各種メディアでは解説記事などはすでに出ているが、ユニークアイズでは、中小企業白書にある統計の中で「〇〇を実践している企業は〇〇を行っていない企業と比べて売上高の増加率が高い」といったポジティブな統計を抜粋していく。ここに記載があることを実践すれば「統計的に会社業績がよくなるはず?」であると願い、今回は人材・経営戦略に関する統計を紹介する(毎週水曜日更新)。

※以下、【ユニークアイズ解説】の項目以外の文章は「2023年度版 中小企業白書」から一部抜粋したもの。
※本記事の図はすべて「2023年版 中小企業白書」から抜粋しているが、元データの参照元は図表内に記載されている。

人材戦略の策定状況別に見た、従業員数増加率の水準

【ユニークアイズ解説】統計データを紹介する前に、まずパート(中小企業白書第2部_第1章_第3節_1. 戦略実行に向けた人材戦略の策定)の概要を説明する。企業や個人を取り巻く変革のスピードが増す中で、企業の成長には、組織を構成する人材の確保・育成に関する戦略が重要である。さらに中小企業の「人手不足」は深刻化している。そうした状況も踏まえ、このパートでは成長に向けた人材戦略について紹介している。まずは「直近10年間における人材戦略の策定状況」を聞いた問いでは、人材戦略を「策定した」企業が約6割だった。さらに人材戦略を策定した企業に「経営戦略と人材戦略の紐づけ」について聞いた問いでは、経営戦略と人材戦略を紐づけることを「大いに考えた」、「ある程度考えた」と回答した企業が9割以上で、人材戦略を策定している成長企業の多くが、経営戦略と人材戦略を一体的に構想している様子が見て取れる。状況を踏まえ、以下が「人材戦略の策定状況別に見た、従業員数増加率の水準」と「経営戦略と人材戦略の紐づけ状況別に、売上高増加率の水準」のデータである。


第2-1-37図は、人材戦略の策定状況別に、従業員数増加率の水準(中央値)を見たものである。これを見ると、人材戦略を「策定した」企業は、「策定しなかった」企業と比較して、従業員数増加率の水準が高いことが分かる。このことから、人材の確保に向けて、人材戦略を策定することの重要性が示唆される。

(出典:2023年度版 中小企業白書)

経営戦略と人材戦略の紐づけ状況別に、売上高増加率の水準

第2-1-39図は、経営戦略と人材戦略の紐づけ状況別に、売上高増加率の水準(中央値)を見たものである。これを見ると、経営戦略と人材戦略を「紐づけた」企業は、「紐づけなかった」企業と比較して、売上高増加率の水準が高いことが分かる。経営戦略と人材戦略を一体的に構想することにより、戦略の実行に必要な人材の確保が進み、結果として業績の向上にもつながっている可能性が示唆される。

(出典:2023年度版 中小企業白書)

【ユニークアイズ解説】中小企業の「人手不足」は深刻化しており、10日に帝国データバンクが発表した23年上半期の「人手不足倒産」の件数は過去最多だった。ユニークアイズが中小企業の経営者に取材をした時も、「事業拡大をしたいが、人手不足で困っている」などの声をよく聞く。本記事では、まず「人材戦略の策定状況別に、従業員数増加率の水準」を紹介。人材戦略を「策定した」企業は「策定しなかった」企業と比較して、従業員数増加率の水準が高いというデータからも「人手不足を解消するためには人材戦略が重要だ」ということが読み取れる。人材戦略の策定は人材確保につながり、経営戦略と紐づけることで業績向上にも寄与することが示唆されることからも、成長のための重要な取り組みと言えよう。

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