これを実践すれば、会社業績が良くなるはず? 中小企業白書にある統計を抜粋してみた(その5)

統計・調査記事
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毎年、経済産業省・中小企業庁から発行される中小企業白書。今年は4月28日に閣議決定され公表された。各種メディアでは解説記事などはすでに出ているが、ユニークアイズでは、中小企業白書にある統計の中で「〇〇を実践している企業は〇〇を行っていない企業と比べて売上高の増加率が高い」といったポジティブな統計を抜粋していく。ここに記載があることを実践すれば「統計的に会社業績がよくなるはず?」であると願い今回は「経営を支える変革人材」のデータを紹介する(毎週水曜日更新)。

※以下、【ユニークアイズ解説】の項目以外の文章は「2023年度版 中小企業白書」から一部抜粋したもの。
※本記事の図はすべて「2023年版 中小企業白書」から抜粋しているが、元データの参照元は図表内に記載されている。

変革人材の有無別に見た、売上高増加率の水準

【ユニークアイズ解説】統計データを紹介する前に、まずパート(中小企業白書第2部_第1章_第3節_2. ②経営を支える変革人材)の概要を説明する。前回記事ではナンバー2の立場にある「右腕人材」について紹介したが、今回は経営者に近い立場で高い専門性や事業推進力を持つ人材「変革人材」について紹介する。まず直近10年間で変革人材の有無について聞いた問いでは、内部で育成した変革人材が「いた」と回答した企業は約4割、外部から確保した変革人材が「いた」と回答した企業は約3割弱だった。内部・外部から問わず変革人材の知識・スキルとしては「営業」が最も多く、「経営企画」、「製品・商品・サービスの企画・開発」と続いた。そうした状況を踏まえ、以下が「変革人材の有無別に見た、売上高増加率の水準」のデータである。


第2-1-52図は、変革人材の有無別に、売上高増加率の水準(中央値)を見たものである。これを見ると、変革人材の経歴にかかわらず、「いた」と回答した企業は、「いなかった」と回答した企業と比較して、売上高増加率の水準が高いことが分かる。今回の調査だけで一概にはいえないものの、変革人材が存在することにより、既存事業の拡大や新規事業の創出が進み、売上高の増加につながっている可能性が考えられる。

(出典:2023年度版 中小企業白書)

【ユニークアイズ解説】「変革人材がいた方が売上高増加率が高い」という当たり前といえば当たり前の結果だが、イメージだけでなく、統計(ファクトベース)で見ていくのは重要である。前回の右腕人材にしても今回の変革人材にしても、内部で育成したという回答が外部からの確保より多かった。人材が確保できないという背景もあると思うが、内部での人材育成が重要になってくる。人材と言っても、業務の中核を担う「中核人材」か、業務を遂行する「業務人材」かを、まず見極めて人材戦略を検討する必要がある。経済産業省では「中小企業・小規模事業者人手不足対応ガイドライン」を3年ぶりに改定して6月22日に公表している。こうしたガイドラインや事例集を参考にするのも良いのでは。

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