8月の企業倒産、注目すべき倒産動向は? 帝国データバンク調べ

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帝国データバンクが8日に発表した8月の企業倒産件数(負債1000万円以上の法的整理が対象)は、前年同月比50.5%増の742件で、前年同月から5割の大幅増を記録し、2000年以降で3番目の増加率だった。概況とともに、注目すべき倒産動向をみていく。

(出典:帝国データバンク)

倒産件数が前年同月を上回ったのは16カ月連続で、リーマン・ショック前後の2008年6月-09年8月の連続増加期間を超えた。8月の倒産件数を業種別にみると、7業種中6業種で前年同月を上回った。「サービス業」(187件、前年同月比40.6%増)が最も多く、「建設業」(148件、同51.0%増)、「小売業」(148件、同94.7%増)が続いた。サービス業は2ヵ月連続で前年同月比40%を超え、大幅増になった。「製造業」(前年同月46件→93件、102.2%増)は前年同月から倍増した。

(出典:帝国データバンク)

倒産の主因別では「販売不振」が565件(前年同月362件、56.1%増)で最多、全体の76.1%を占めた。「業界不振」の7件(同4件→7件、75.0%増)などを含めた「不況型倒産」の合計は575件(同366件、57.1%増)となり、7カ月連続で前年同月を100件以上上回った。

(出典;帝国データバンク)

同社の発表資料の中で、注目の倒産動向として紹介しているのは、「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」、「人手不足倒産」「後継者難倒産」「物価高(インフレ)倒産」だ。

ゼロゼロ(コロナ)融資とは、コロナ禍で売上が減った企業に実質無利子・無担保で融資する仕組みで、その返済が本格化している。「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」は、8月に62件(前年同月34件、82.4%増)発生し、過去最多の2023年6月(64件)に迫る数となった。2023年累計(1-8月)では419件となり、2022年通年(386件)をすでに上回っている。

(出典:帝国データバンク)

「人手不足倒産」は、2023年8月に26件(前年同月13件、100.0%増)発生し、前年同月から倍増した。2023年累計(1-8月)は150件となり、8月時点での150件到達は、集計開始して以降初めてだという。

(出典:帝国データバンク)

「後継者難倒産」は、2023年8月に56件(前年同月34件、64.7%増)発生した。前年同月を大幅に上回り、過去最多であった2022年10月に並んだ。2023年累計(1-8月)では368件となり、通年で過去最多を更新するペースが続く。業種別では、『建設業』(13件)が最多となり、『製造業』(11件)、『卸売業』『サービス業』(10件)が続いた。

(出典:帝国データバンク)

「物価高(インフレ)倒産」は、2023年8月に61件(前年同月34件、79.4%増)発生した。1-8月累計では503件に達し、通年で700件を超えるペースで推移している。

(出典:帝国データバンク)

帝国データバンクは今後の見通しについて、「2023年の企業倒産は、8月までの累計で5449件に達し、前年同期(4037件)を既に1000件以上上回った。このペースで推移した場合、全国の年間倒産件数は10月にも22年通年の6376件を上回る見込みで、2015年以来8年ぶりとなる8500件台への到達も想定される」と分析する。

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