23年上半期、企業倒産件数は5年ぶり4000件越え 帝国データバンク調べ

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帝国データバンクは10日、2023年上半期(1-6月)の企業倒産件数が、前年同期比31.6%増の4006件だったと発表した。上半期としては5年ぶり4000件超えで、2009年以来14年ぶりに全業種で前年を上回った。地域別でも、全地域で前年同期を上回る結果となった。

業種別では、「サービス業」(958件、前年同期比23.8%増)が最も多く、サービス業の詳細をみると『広告・調査・情報サービス』(前年同期231件→308件)が大幅に増加し、全体の件数を押し上げた。次いで「小売業」(834件、同45.8%増)が続いた。小売業のなかでも『飲食店』(前年同期208件→378件)が上半期としては2020年(398件)に次ぐ過去2番目の件数となった。次いで「建設業」(795件、同36.4%増)が続いた。資材価格高騰や人手不足の影響を受けた「建設業」では、上半期としては2年連続で前年を上回り、特に『職別工事』(同246件→353件)の増加が目立った。”2024年問題”を抱える運輸業が含まれる「運輸・通信業」(211件、同34.4%増)は、上半期としては9年ぶりに200件を超えた。

(業種別の23年上半期倒産件数、出典:帝国データバンク)

倒産主要因別では、「販売不振」が前年同期比34.4%増の3,130件。全体の78.1%を占めた。さらに「売掛金回収難」や「業界不振」などを含めた「不況型倒産」は3,197件に上り、上半期としては2年連続で前年を上回った。

負債規模別では、「5000万円未満」の倒産が2307件(前年同期比29.1%増)で最も多く、全体の57.6%を占めた。次いで、「5億円未満」が823件(同37.4%増)、「1億円未満」が658件(同40.9%増)で続き、小規模な倒産の増加が目立った。

業歴別では、「30年以上」が1331件(前年同期比26.9%増)で最も多く、全体の33.2%を占めた。このうち、老舗企業(業歴100年以上)の倒産は38件(同15.2%増)発生し、上半期としては2019年以来4年ぶりに前年を上回った。

(業歴別の倒産件数、出典:帝国データバンク)

地域別では、上半期としては2006年以来、17年ぶりに全地域で前年を上回った。このうち、「東北」(212件、前年同期比16.5%増)、「関東」(1433件、同28.3%増)、「中部」(562件、同47.1%増)、「九州」(340件、同38.8%増)の4地域は、コロナ禍前の2019年上半期を超えた。

同レポートでは「足元では、民間ゼロゼロ融資の返済開始時期がこれから本格化することに加え、物価高や電気代、円安等によるコストプッシュ圧力も高まり、従前以上に本業の「収益力」が問われる局面へと突入する。一方、3年以上に及ぶコロナ禍で先行きの見通しが立たず、収益悪化と価格転嫁の板挟みとなって事業意欲を喪失した経営者は各業界で少なくない。今後の企業倒産は、こうした先行き悲観からの「あきらめ型倒産」が全体の件数を底上げする形で、2023年の企業倒産はコロナ禍前の2018-19年の水準(8000件台)への到達も視野に増加が続くとみられる」と指摘している。

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