新型コロナウイルスの影響が起因とするコロナ融資を受けた企業の倒産が急増している。帝国データバンクが8日に発表した「全国企業倒産集計2022年5月報 別紙号外リポート」によると5月までに判明したコロナ融資後倒産は、累計で323件判明し、初めて発生が確認できた20年7月から約2年で300件を突破した。
既にコロナ融資を運転資金などで使い切っているケースも多い中、返済開始の期限が迫る企業も増えており、返済原資の確保や金融機関から追加の融資も難しい中小企業で、最終的に資金繰りに行き詰り事業継続を諦める経営破たんが目立ち始めていると同レポートでは分析している。
コロナ禍による経済の急激な縮小や経営環境の変化により、多くの中小企業で業績が悪化したものの、持続化給付金をはじめとする政府の支援策に加え、全国200万件・40兆円に上る無利子・無担保融資(コロナ融資)で資金繰りを下支えしてきた。「緊急事態宣言で人流を抑制することができれば」「ワクチン接種が進めば」という期待感から事業を継続してきた企業も多いものの、業績の立て直しがままならない企業も多い。
当初は1カ月で平均2件前後の発生にとどまるなど少数で推移したものの、コロナ禍から1年目が経過した21年2月以降は10件を上回るペースで推移。2年を迎えた22年3月以降は月間30件を超え、5月は月間最多となる41件に達した。この結果、コロナ融資後倒産は最初の発生から100件まで1年1カ月後を要したのに対し、200件までの到達期間は6カ月と、コロナ融資後倒産の発生ペースが加速している。このペースが続けば、早ければ2022年6月にも前年(165件)を上回る見通しとなる。
実際の融資額が判明した約110社の1社あたりのコロナ融資借入額平均は約6100万円だった。当初は政府系金融機関によるコロナ融資の借り入れが中心だったものの、2022年以降は銀行や信用金庫など民間金融機関から借り入れた企業の倒産が目立つ。
また、全体のコロナ融資総額は推計で 197億300万円にのぼり、負債総額のおよそ1割を占める。
業種別にみると、全323件のうち最も多いのは製造業の67件で、次いで卸売業(65件)が多かった。いずれも食品に関連した業種が多いほか、製造業では印刷業が、卸売業では衣服卸などのアパレル産業が多かった。建設業では、住宅建築など幅広い業種で発生がみられた。小売業では特に飲食店が多く、小売業全体の3割(22件)を占めた。サービス業では、パチンコホールなどの娯楽業、旅館・ホテルなどの宿泊業(ともに9件)が多い。