中小企業の海外展開の一番の課題は「販売先の確保」(2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた㉛)

統計・調査記事
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毎年、経済産業省中小企業庁から発行される中小企業白書。2022年版の白書は表紙から参考文献などを含めると590ページに及ぶ。そこで、統計データを、中小企業に関係する者が参考にしやすいように抜粋して、回数を分けて紹介する。第31回目は海外展開における課題、輸出におけるECの活用についてまとめた。

ユニークアイズサマリー:今回は海外進出への課題と輸出におけるECの活用についてである。海外展開をしている企業・していない企業とも、一番の課題は「販売先の確保」だった。海外展開している企業では次いで「海外展開を主導する人材の確保」、「現地の市場動向やニーズの調査」が課題としている。海外展開しない企業では、次いで「現地の市場動向やニーズの調査」、「海外展開を主導する人材の確保」が課題だった。一方で、グローバルなEC(電子商取引)の市場は拡大しており、国境を越えた取引(越境EC)も活発になっている。

JETROの調査(2021年度「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」)では、コロナ禍で越境ECを中心に中小企業のEC活動が進展しているというデータもある。ただ、中小企業が自社で一から海外を開拓するのは非常に労力がかかる。第三者が運営するECサイトやプラットフォームをまず利用してみるのも手かもしれない。

※以下、本文中の文章は「中小企業白書 2022」から一部抜粋したもの。
※本記事の図はすべて「中小企業白書 2022」から抜粋しているが、元データの参照元は図表内に記載されている。

中小企業が強く感じている課題

感染症流行の影響が長引く中で、中小企業が海外展開において感じている課題について確認する。第2-2-131図は、既に海外展開を実施している企業が最も強く感じている課題を示したものである。これを見ると「販売先の確保」と回答した企業の割合が最も高くなっていることが分かる。また、現在海外展開を実施していないものの、今後新たに取り組みたいと考えている企業における課題についても、「販売先の確保」の回答割合が最も高くなっていることが分かる(第2-2-132図)。中小企業白書(2014)では、海外展開における課題は今回の調査と同様に、「販売先の確保」が最も重要な課題となっており、海外展開における課題は大きくは変わっていない様子がうかがえる。

(出典:中小企業白書 2022)
(出典:中小企業白書 2022)

世界のBtoC-EC 市場規模及び越境ECの市場規模の推移

一方で、海外展開の環境については、近年において変化が見られる。感染症流行以降、生活様式の変化などにより、EC(電子商取引)の市場規模が世界的に拡大しており(第2-2-133図)、国境を越えた取引(越境EC)も活発になっている。特に、市場規模の大きい米国及び中国の消費者による日本の事業者からのEC 購入額の推移を確認すると、いずれも年々拡大していることが分かる(第2-2-134図)。

(出典:中小企業白書 2022)
(出典:中小企業白書 2022)

越境ECの利用状況

続いて、実際に販売でEC を活用している企業のうち、越境EC を利用している企業の割合を見ると、中小企業においても2016年以降増加傾向にあることが分かる(第2-2-135図)。

(出典:中小企業白書 2022)
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