中小企業経営者の年齢構成・就任経緯・経営歴は?(2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた㉕)

統計・調査記事
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毎年、経済産業省中小企業庁から発行される中小企業白書。2022年版の白書は表紙から参考文献などを含めると590ページに及ぶ。そこで、統計データを、中小企業に関係する者が参考にしやすいように抜粋して、回数を分けて紹介する。第25回目は中小企業経営者の全体像についてまとめた。

【ユニークアイズサマリー】今回は中小企業経営者の全体像についてである。中小企業の経営者年齢の構成比は、業種に関わらず、50代から70代の割合がそれぞれ2割前後で、大企業の経営者(60代が5割前後)と比べると経営者年齢が幅が広い。経営者の就任経緯では、「創業者」と「同族継承」の割合が高く、合わせて8割程度に達する。また、中小製造業では、「同族継承」が5割超であるのに対し、中小サービス業では、「創業者」が5割超となっており、中小企業の中でも業種による差異が見られる。経営者の経営歴は、中小企業では、経営歴が「10年以上」である割合が最も高かった。一方で大企業は、「3年未満」や「3年以上10年未満」の割合が比較的高い。

この統計での一つのポイントは中小製造業の経営者の就任経緯で「同族承継」が56.9%で業種別では一番多く、「創業者」が23.7%で最も少ないという点である。設備投資などの初期投資がかかることが創業者(起業)が少ない理由と考えられる。日本の企業数は年々減少傾向にあり、事業継承などの問題を抱えている中小企業においては、企業数が増加する材料が見当たらない。一概に企業数が増えればよいというわけではないが、中小製造業が支えてきた「ものづくり立国日本」の衰退が急激に進んでいく可能性もある。モノづくりハードウェアスタートアップ企業向けのサービスも出始めているという明るい兆しもあるが、行政などの創業支援などが重要であると言えるであろう。

※以下、本文中の文章は「中小企業白書 2022」から一部抜粋したもの。
※本記事の図はすべて「中小企業白書 2022」から抜粋しているが、元データの参照元は図表内に記載されている。

業種別に見た、経営者年齢の構成比(中小企業と大企業)

国内の中小企業数は2016年時点で357万社超存在しており、多種多様な存在である。当然ながら、それらの中小企業を経営する経営者についても年齢、就任経緯、経営歴など様々であるが、まず、国内における中小企業経営者の全体像について概観する。

第2-2-101図は、業種別に、経営者年齢の構成比について見たものである。中小企業の経営者年齢の構成比は、業種に関わらず、50代から70代の割合がそれぞれ2割前後と広く分散していることが分かる。大企業の経営者年齢の構成比は、60 代が5割前後と、比較的集中していることと比べると、中小企業においては、経営者年齢が幅広い年代で構成されていることが分かる。

(出典:中小企業白書 2022)

業種別に見た、経営者の就任経緯(中小企業と大企業)

第2-2-102図は、業種別に、経営者の就任経緯について見たものである。中小企業では、「創業者」と「同族継承」の割合が高く、合わせて8割程度に達する。また、中小製造業では、「同族継承」が5割超であるのに対し、中小サービス業では、「創業者」が5割超となっており、中小企業の中でも業種による差異が見られる。一方で、大企業では、「内部昇格」や「親会社や取引先からの派遣・招へい」の割合が高く、大企業と中小企業では傾向が大きく異なっている。

(出典:中小企業白書 2022)

業種別に見た、経営者の経営歴(中⼩企業と大企業)

第2-2-103図は、業種別に、経営者の経営歴について見たものである。中小企業では、経営歴が「10年以上」である割合が最も高く、6割程度に達する。大企業では、「3年未満」や「3年以上10年未満」の割合が比較的高いことと比べると、中小企業の経営者は経営歴が長い傾向にあることが分かる。

(出典:中小企業白書 2022)
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