中小企業の7割超が海外展開しておらず、今後も行う予定はないとの結果に(2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた㉚)

統計・調査記事
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毎年、経済産業省中小企業庁から発行される中小企業白書。2022年版の白書は表紙から参考文献などを含めると590ページに及ぶ。そこで、統計データを、中小企業に関係する者が参考にしやすいように抜粋して、回数を分けて紹介する。第30回目は海外展開の現状についてまとめた。

ユニークアイズサマリー:今回は海外展開の現状についてである。インバウンド需要の動向を示したものである。近年は一貫して増加傾向で推移していたものの、2020年の感染症流行以降大幅に減少した。感染症流行以前の水準まで回復するには一定程度の時間を要する状況である。また中小企業の海外展開の状況と今後の意向についての調査では、7割超の企業が「海外展開を行っておらず、今後も行う予定はない」との結果だった。

10月11日に外国人の入国規制が大幅に緩和され、インバウンド需要は高まることが期待される。一方で物価高、円安など日本の経済が急激に上向く要因は乏しい。企業が成長するためには海外展開が一つのキーポイントとなる可能性がある。ただ「そもそも海外展開をする必要性があるのか」ということに加え、大企業に比べ中小企業ほど海外展開に対する知見・各リソース不足が課題でもある。

※以下、本文中の文章は「中小企業白書 2022」から一部抜粋したもの。
※本記事の図はすべて「中小企業白書 2022」から抜粋しているが、元データの参照元は図表内に記載されている。

訪日外国者数及び旅行消費額の推移

海外需要の取り込みにおいて、感染症流行以前では増加するインバウンド需要の取り込みは重要な取組であった。第2-2-129図はインバウンド需要の動向を示したものである。これを見ると、2011年から2019年にかけて一貫して増加傾向で推移していたものの、2020年の感染症流行以降大幅に減少しており、感染症流行以前の水準まで回復するには一定程度の時間を要する状況である。

(出典:中小企業白書 2022)

企業規模別に見た、直接輸出・投資企業割合の推移

こうした状況を踏まえ、続いて輸出や海外直接投資といった海外展開の現状について確認する。第1-1-40図(再掲)は、企業規模別に直接輸出企業の割合を見たものである。これを見ると、中小企業における輸出企業の割合は、長期的には増加傾向にあったものの、足元ではおおむね横ばいで推移している。また、直接投資企業の割合においても、中小企業では、長期的には増加傾向であったものの、足元ではおおむね横ばいで推移していることが分かる(第1-1-42図(再掲))。

(出典:中小企業白書 2022)
(出典:中小企業白書 2022)

海外展開の実施状況及び今後の意向

足元における中小企業の海外展開48 の状況と今後の意向について確認すると、多くの企業において、海外展開の意向を持っていない一方で、海外展開について今後更に拡大を図る企業、今後新たに海外展開に取り組む意向である企業が一定程度存在することが分かる(第2-2-130図)。

(出典:中小企業白書 2022)
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