従業員20人以下の企業でも組織体制の見直しをしたら売上アップ?(2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた⑮)

統計・調査記事
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毎年、経済産業省中小企業庁から発行される中小企業白書。2022年版の白書は表紙から参考文献などを含めると590ページに及ぶ。そこで、製造業に関係する統計データを、製造業に関係する者が参考にしやすいように抜粋して、数回に分けて紹介する。第15回目は組織の柔軟性についてまとめた。

【ユニークアイズサマリー】まず組織体制の見直しは、規模の大きい企業ほど実施している。そのきっかけは「経営戦略・計画の見直しを踏まえて実施」と回答した企業が半数を超えた。そして、いずれの規模においても、組織体制の見直しを実施している企業の方が、売上高増加率が高い。定期的な人事異動の実施有無はこちらも規模の大きい企業ほど、実施している。人事異動の際の重視する基準は従業員の能力(50.1%)、会社の戦略(38.3%)と続いた。

従業員が少ない企業ほど、組織体制の見直しを行っていないという結果になったが、人的リソースや事業範囲の幅が比例して狭くなる可能性があるため、この結果は妥当だろう。ただ、5人~20人規模の会社でも、見直しを実施した実施した企業の売上増加率(中央値)は7.6%と実施していない企業より約6ポイント高い。やみくもに体制の見直しが良いとは言えないが、外部状況の変化などに対応できる柔軟な組織体制の構築が重要と言えるだろう。

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※以下、本文中の文章は「中小企業白書 2022」から一部抜粋したもの。
※本記事の図はすべて「中小企業白書 2022」から抜粋しているが、元データの参照元は図表内に記載されている。

従業員規模別に見た、組織体制の見直しの状況

第2-2-47図は、従業員規模別に、直近5年間での組織体制の見直しの状況について見たものである。従業員規模が101人以上の企業では、8割超が実施しているのに対し、5〜20人の企業では、4割程度となっており、規模の大きい企業ほど実施していることが分かる。

(出典:中小企業白書 2022)

組織体制の見直しのきっかけ

第2-2-48図は、組織体制の見直しのきっかけについて見たものである。これを見ると、半数以上の企業で、経営戦略や経営計画の見直しを踏まえて、組織体制の見直しを実施していることが分かる。多くの企業では、経営戦略や経営計画を見直した際に、それらを実現するためにふさわしい組織体制になっているかについても合わせて見直している様子が見て取れる。

(出典:中小企業白書 2022)

従業員規模別及び組織体制の見直しの有無別に見た、売上高増加率(中央値)

第2-2-49図は、従業員規模別及び組織体制の見直し状況別に、売上高増加率について見たものである。これを見ると、いずれの規模においても、組織体制の見直しを実施している企業の方が、売上高増加率が高いことが分かる企業の成長に当たっては、自社の方針の見直しや環境変化に対応して、柔軟に組織体制の見直しを図っていくことが重要といえよう。

(出典:中小企業白書 2022)

従業員規模別に見た、定期的な人事異動の実施有無

第2-2-50図は、従業員規模別に、定期的な人事異動の実施有無について見たものである。従業員規模101人以上の企業では、7割程度の企業で定期的な人事異動がある一方、5〜20人の企業では2割未満となっており、企業規模による差異が大きいことが分かる。

(出典:中小企業白書 2022)

人事異動の際に最も重視する基準

第2-2-51図は、従業員規模別に人事異動の際に最も重視する基準について見たものである。半数以上の企業で「従業員の能力」を最も重視していることが分かる。こうしたことからも、企業が能力開発の機会を積極的に提供し、意識的に従業員の能力を高めることの重要性が示唆される。

(出典:中小企業白書 2022)
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