中小経営者の6割超が経営に関する学習時間は「十分ではない」という自己評価(2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた㉘)

統計・調査記事
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毎年、経済産業省中小企業庁から発行される中小企業白書。2022年版の白書は表紙から参考文献などを含めると590ページに及ぶ。そこで、統計データを、中小企業に関係する者が参考にしやすいように抜粋して、回数を分けて紹介する。第28回目は経営者自身の経営力を高めるための学習・取組(その1)についてまとめた。

ユニークアイズサマリー:今回は経営者自身の学習などに対する取り組みである。経営に関する学習時間の自己評価では、60%超が「十分な時間を確保できていない」と回答。経営方針別にみた学習時間確保の状況では、「売上拡大」や「利益拡大」といったといった前向きな経営方針を採る経営者は、学習時間を意図的に確保している割合が高い。学習時間確保状況別の売上高増加率では、経営者が学習時間を意図的に確保している企業の方が、売上高増加率が高い傾向にある。

外部環境の変化が激しい昨今の経済情勢では、特にこまめな情報収集だけでなく、経営者も日々勉強し、勉強するだけでなく、それを経営に反映させていかなくてはならない。

※以下、本文中の文章は「中小企業白書 2022」から一部抜粋したもの。
※本記事の図はすべて「中小企業白書 2022」から抜粋しているが、元データの参照元は図表内に記載されている。

経営に関する学習時間に対する自己評価

経営者は、会社の方針を定めたり、意思決定をしたりと、一従業員と異なる知識・スキルが求められる。こうした経営知識・スキルを高めていくためには、日々の経営の中で経験値を高めていくことも重要であるが、経営者自身が社内外の学習機会を活用することが有益である。本項では、経営者の経営力を高めるための学習や取組について確認する。

第2-2-113図は、経営者の経営に関する学習時間に対する自己評価について見たものである。これを見ると、「十分な時間を確保できていない」が6割超となっており、多くの経営者が経営に関する学習時間を十分に確保できていないと認識していることが分かる。

(出典:中小企業白書 2022)

経営方針別に見た、経営に関する学習時間確保の状況

第2-2-114図は、経営方針別に、経営者の経営に関する学習時間確保の状況について見たものである。これを見ると、「売上拡大」や「利益拡大」といった前向きな経営方針を採る経営者は、学習時間を意図的に確保している割合が高いことが分かる。

(出典:中小企業白書 2022)

経営に関する学習時間確保の状況別、売上高増加率(中央値)

第2-2-115図は、経営者の経営に関する学習時間確保の状況別に、売上高増加率について見たものである。これを見ると、経営者が学習時間を意図的に確保している企業の方が、売上高増加率が高い傾向にあることが分かる。経営者が意図的に経営に関する学習時間を確保し、経営力を高めることで、企業の成長につながることが示唆される。

(出典:中小企業白書 2022)

経営に関する学習時間確保の状況別、1 か月の平均学習時間

第2-2-116図は、経営者の経営に関する学習時間確保の状況別に、1か月の平均学習時間について見たものである。これを見ると、学習時間を意図的に確保している経営者の方が学習時間が長い傾向にあることが分かる。多忙な経営者業務の中で学習時間を確保するためには、意識して学習時間を作り出す姿勢が重要である。

(出典:中小企業白書 2022)
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