【保存版③】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(雇用の動向編)

統計・調査記事
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毎年、経済産業省中小企業庁から発行される中小企業白書。2022年版の白書は表紙から参考文献などを含めると590ページに及ぶ。そこで、製造業に関係する統計データを、製造業に関係する者が参考にしやすいように抜粋して、数回に分けて紹介する。第3回目は雇用の動向についてまとめた。

過去の関連記事:
【保存版①】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(国内経済の現状編)
【保存版②】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(中小企業事業者の現状編)

「中小企業白書 2022」の全文はこちら

※以下、本文中の文章は「中小企業白書 2022」から一部抜粋したもの。
※本記事の図はすべて「中小企業白書 2022」から抜粋しているが、元データの参照元は図表内に記載されている。

完全失業率・有効求人倍率の推移

雇用情勢を示す代表的な指標として、完全失業率と有効求人倍率の推移について確認する(第1-1-43図)。2020年に入ると上昇傾向に転じ、その後は再び低下傾向で推移している。また、有効求人倍率も20年に入り、大きく低下したものの、再び緩やかな上昇傾向となっている。

(出典:中小企業白書 2022)

従業者・休業者の推移

従業者と休業者の動きについて確認する(第1-1-44図)。感染症の拡大を受けて第1回緊急事態宣言が発令された20年4月に休業者数と従業者数で大きな変動があったが、21年に入ると、月によって増減を繰り返しながら推移し、足元では従業者が減少傾向、休業者が増加傾向となっている。

(出典:中小企業白書 2022)

雇用形態別に見た、雇用者数の推移(前年差)

雇用者数の動きを確認する。第1-1-45図は、雇用形態別に見た雇用者数の前年差の推移を見たものである。「正規の職員・従業員」の雇用者数は15年から毎年前年から増加しているのに対して、「非正規の職員・従業員」の雇用者数は20年に大きく減少し、21年も20年と比べて減少幅が小さいものの、引き続き前年から減少している。

(出典:中小企業白書 2022)

雇用形態別に見た、雇用者数の推移(前年同月差)

月別に前年同月差を見ると、20年の初め頃から「非正規の職員・従業員」の雇用者数は減少し、21年4月頃にその傾向が一時的に収まったが、8月頃から再び減少している。12 月は正規・非正規ともに前年同月より増加しているものの、その増加幅は小さい(第1-1-46図)。

(出典:中小企業白書 2022)

業種別に見た、雇用者数の前年同月比の推移

業種別に雇用者数の動向を確認すると、特に感染症による影響を受けた「宿泊業、飲食サービス業」や「生活関連サービス業、娯楽業」は、20年に引き続き21年においても前年同月と比べて減少している。21 年12 月時点においてもおおむね前年同月を下回っていることから依然として雇用者数が戻っていない様子が分かる。一方で「情報通信業」の雇用者数は2020年に引き続き2021年においても前年同月を上回っており、業種ごとに異なる傾向となっている(第1-1-47図)

(出典:中小企業白書 2022)

業種別に見た、従業員数過不足DI の推移

ここからは、中小企業の雇用をめぐる状況について見ていく。第1-1-48図は、景況調査を用いて、業種別に従業員の過不足状況を見たものである。20年に入ると、第2四半期には急速に不足感が弱まり、製造業と卸売業では従業員数過不足DI がプラスとなった。足元では、いずれの業種も従業員数過不足DI はマイナスとなっているが、製造業を除き僅かに人手不足感が弱まっている。

(出典:中小企業白書 2022)

従業者規模別に見た、雇用形態別雇用者数の推移(前年同月差)

第1-1-49図は、従業者規模別に雇用者数の前年同月差の推移を見たものである。どの従業者規模においても20年4月頃から特に非正規の職員・従業員数が減少しているが、特に従業者規模が「1~29 人」の企業においては、他の従業者規模の区分と比べて減少幅が大きい状況が見て取れる。

(出典:中小企業白書 2022)

業種別に見た、雇用者数の前年同月比の推移(従業員規模1~29 人)

次に、従業員規模別に各業種における雇用者数の動向を確認する。従業員規模が「1~29人」の区分では、特に感染症による影響を受けた「宿泊業,飲食サービス業」や「生活関連サービス業,娯楽業」において、21年も前年同月比で減少している月が多く、依然として雇用者数が戻っていない様子が分かる。一方で、「情報通信業」の雇用者数は、他業種と比較して感染症下にあっても前年同月を上回る月が多い(第1-1-50図)。

(出典:中小企業白書 2022)

業種別に見た、雇用者数の前年同月比の推移(従業員規模30~99 人)

従業員規模が「30~99 人」の区分では、「宿泊業、 飲食サービス業」において、21 年も前年同月比で大きく減少して推移している状況が見て取れる。また、「生活関連サービス業、 娯楽業」においては、21年後半から足元にかけて前年同月比で見た減少率が高まっており、雇用者数の減少が加速している様子が分かる(第1-1-51図)。

(出典:中小企業白書 2022)
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