【保存版②】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(中小企業事業者の現状編)

統計・調査記事
この記事は約6分で読めます。

毎年、経済産業省中小企業庁から発行される中小企業白書。2022年版の白書は表紙から参考文献などを含めると590ページに及ぶ。そこで、製造業に関係する統計データを、製造業に関係する者が参考にしやすいように抜粋して、数回に分けて紹介する。第2回目は中小企業事業者の現状についてまとめた。

過去の関連記事:
【保存版①】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(国内経済の現状編)

「中小企業白書 2022」の全文はこちら

※以下、本文中の文章は「中小企業白書 2022」から一部抜粋したもの。
※本記事の図はすべて「中小企業白書 2022」から抜粋しているが、元データの参照元は図表内に記載されている。

企業規模別業況判断DI の推移

始めに、中小企業の業況について、中小企業庁・中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」(以下、「景況調査」という。)の業況判断DIの推移を確認する(第1-1-11図)。21 年は上昇と低下を繰り返しながら推移しており、22年第1四半期は再び低下した。また、中規模企業においては感染症流行前を上回る水準まで回復したものの、小規模事業者においては戻り切れていない状況であり、中小企業の中でも規模ごとに回復の程度が異なることが見て取れる。

(出典:中小企業白書 2022)

業種別業況判断DI の推移

続いて、業種別に業況判断DIを確認すると、建設業を除き、20年第2四半期はリーマン・ショック時を下回る水準となったが、その後いずれの業種でも2期連続で回復した。その後は業種ごとに傾向は異なるが、22年第1四半期においては、製造業を除いて低下した(第1-1-13図)。

(出典:中小企業白書 2022)

企業規模別に見た、売上高の推移

次に、中小企業の業績について売上高と経常利益の状況を見ていく。中小企業の売上高は、リーマン・ショック後及び11年の東日本大震災後に大きく落ち込み、13年頃から横ばいで推移した後、16年半ばより増加傾向となっていた。19年以降は減少傾向に転じた中で、感染症の影響により更に減少したが、21年第1四半期を底に緩やかな増加傾向に転じている(第1-1-15図)。

(出典:中小企業白書 2022)

業種別に見た、中小企業の売上高の前年同期比

業種別に前年同期と比較した中小企業の売上高の動向を見ると、21年第2四半期から多くの業種で、前年同期と比べて売上高が回復した(第1-1-16図)。

(出典:中小企業白書 2022)

一方で、2019 年同期比と比較すると、依然として多くの業種で売上高が回復しておらず、特に「生活関連サービス業、娯楽業」、「宿泊業、飲食サービス業」においてそれぞれ大幅減となっており、引き続き厳しい状況にあることが分かる(第1-1-17図)。

(出典:中小企業白書 2022)

企業規模別に見た、経常利益の推移

中小企業の経常利益は売上高同様、リーマン・ショック後に大きく落ち込んだ後は緩やかな回復基調が続いてきたが、20年に入ると、感染症の影響により減少に転じた。その後は、20年第3四半期を底に中小企業の経常利益は再び緩やかな増加傾向にある(第1-1-18図)。

(出典:中小企業白書 2022)

企業規模別に見た、設備投資の推移

次に、中小企業の投資の動向について見ていく。まず、中小企業の設備投資は、20年には減少傾向となったが、21年に入ると僅かに増加している(第1-1-19図)。

(出典:中小企業白書 2022)

企業規模別・業種別に見た、生産・営業用設備判断DI の推移

続いて、設備の過不足感について生産・営業用設備判断DI の推移を確認する。製造業は18年後半から不足感が弱まる傾向で推移していた。20年に入ると急激に過剰感が強まったが、20年第3四半期以降は過剰感が和らいでいる。非製造業においては20年に設備の不足感が弱まったが、足元では、特に中小企業において再び不足感が強まっている(第1-1-20図)。

(出典:中小企業白書 2022)

中小企業の設備投資計画

第1-1-21図は、中小企業の設備投資計画について見たものである。20年度設備投資計画が感染症の影響を受けて、例年よりも低い水準で推移していたこともあり、21年度は6月調査以降の設備投資計画が前年度比で増加。感染症による影響による先行きの見通しづらさはあるものの、昨年度よりも積極的な投資の動きが見られる。

(出典:中小企業白書 2022)

企業規模別に見た、ソフトウェア投資額の推移

次に、IT関連指標としてソフトウェア投資の推移について確認する。中小企業のソフトウェア投資は、長期にわたって横ばい傾向で推移してきたが、21年に入ると増加傾向となり、足元ではおおむね横ばいで推移している(第1-1-22図)。

(出典:中小企業白書 2022)

企業規模別に見た、ソフトウェア投資比率の推移

中小企業の設備投資に占めるソフトウェア投資の比率についても、21年に入ると増加し、足元ではおおむね横ばいで推移している(第1-1-23図)。

(出典:中小企業白書 2022)

企業規模別・業種別に見た、研究開発費及び売上高研究開発費の推移

次に、企業が新たな製品・サービスを生み出すための研究開発活動について見ていく。第1-1-24図は、研究開発費と売上高に占める研究開発費の割合の推移である。これを見ると、中小企業における研究開発費は緩やかな増加傾向であるものの、売上高に占める研究開発費の割合は横ばいの傾向が続いており、同業種の大企業と比べて低水準にあることが分かる。

(出典:中小企業白書 2022)

企業規模別・業種別に見た、売上高対能力開発費

続いて、第1-1-25図は、能力開発費と売上高に占める能力開発費の割合の推移である。これを見ると、中小企業の能力開発費は大企業と比較して規模が小さいものの、増加傾向にある。一方で、売上高に占める能力開発費の割合を見ると、業種にかかわらず、ほぼ横ばいで推移している。ただし、同業種の大企業に比べて研究開発費ほどの格差は存在していないことが分かる。

(出典:中小企業白書 2022)

企業規模別に見た、直接輸出企業割合の推移

中小企業の海外展開の現状について、経済産業省「企業活動基本調査」を用いて確認する。第1-1-40図は、企業規模別に見た直接輸出企業割合の推移である。これを見ると、中小企業の直接輸出企業割合は長期的に増加しているが、足元では横ばいで推移している。また、中小企業の輸出額と売上高に占める輸出額の割合の推移を見ると、ともに16年度までおおむね増加傾向であったが、その後は減少傾向に転じている(第1-1-41図)。

(出典:中小企業白書 2022)
(出典:中小企業白書 2022)

企業規模別に見た、直接投資企業割合の推移

第1-1-42図は、企業規模別の直接投資企業割合の推移である。これを見ると、中小企業の直接投資企業割合についても長期的に増加傾向にあるものの、足元では横ばいとなっている。

(出典:中小企業白書 2022)
PAGE TOP