【保存版⑤】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(事業継続計画の取り組み編)

統計・調査記事
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毎年、経済産業省中小企業庁から発行される中小企業白書。2022年版の白書は表紙から参考文献などを含めると590ページに及ぶ。そこで、製造業に関係する統計データを、製造業に関係する者が参考にしやすいように抜粋して、数回に分けて紹介する。第5回目は事業継続計画の取り組みについてまとめた。

過去の関連記事:
【保存版①】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(国内経済の現状編)
【保存版②】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(中小企業事業者の現状編)
【保存版③】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(雇用の動向編)
【保存版④】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(原油・原材料価格の高騰編)

「中小企業白書 2022」の全文はこちら

※以下、本文中の文章は「中小企業白書 2022」から一部抜粋したもの。
※本記事の図はすべて「中小企業白書 2022」から抜粋しているが、元データの参照元は図表内に記載されている。

2021 年に災害救助法の適用を受けた災害

第1-1-66図は、2021年に発生した災害のうち、災害救助法の適用を受けたものを示している。21年においても、大雨、大雪、地震、大規模火災など、災害救助法の適用を受ける災害が多く発生した。

(出典:中小企業白書 2022)

事業継続計画(BCP)の策定状況の推移(中小企業)

災害に代表されるような不測の事態が発生しても、重要な業務を中断させることなく、また中断が生じても可能な限り短期間で復旧させるために、方針や体制及び手順を示した「事業継続計画」(BCP)について、その取組状況を見ていきたい。第1-1-67図は、中小企業における直近3年間のBCPの策定状況を見たものである。これを見ると、策定している企業は、毎年増加傾向にあるものの、半数近くは時期によらず策定していないという回答となっている。

(出典:中小企業白書 2022)

事業の継続が困難になると想定しているリスク(中小企業)

第1-1-68図は、BCPを「策定している」、「現在、策定中」、「策定を検討している」と回答した企業に対して、事業の継続が困難になると想定しているリスクを聞いたものである。これを見ると、「自然災害」と「感染症」がリスクとして高く認識されていることが分かる。

(出典:中小企業白書 2022)

事業の継続が困難になると想定しているリスク(中小企業)2019年、2020年

第1-1-69図は、同様の調査を19年と20年の2か年で比較したものである。20年は感染症による在宅勤務の推奨や、従業員の感染による出勤停止に伴う稼働停止など、事業の継続が困難となる事態が懸念されたためか、「感染症」を想定するリスクとして回答した企業の割合は19年から急増した。また、毎年のように発生する大規模な大雨や地震、大雪といった自然災害についても想定するリスクとして19年に引き続き高い割合で推移している。

(出典:中小企業白書 2022)

事業継続計画(BCP)を策定したことによる効果(中小企業)

次に、BCP策定の効果について見ていく。第1-1-70図は、BCPを「策定している」と回答した企業が感じている効果を示したものであるが、「従業員のリスクに対する意識が向上した」という回答が半数以上存在するほか、「事業の優先順位が明確」や「業務の定型化・マニュアル化」「業務の改善・効率化」など、日頃の業務改善にも効果が表れていることが見て取れる。また「取引先からの信頼」といったように、自社の価値向上にもつながっていることが示唆される。

(出典:中小企業白書 2022)

事業継続計画(BCP)を策定しない理由(中小企業)

第1-1-67図で示したように、「策定していない」と答えた企業の割合が半数近くある中

で、その背景にある課題について確認する。第1-1-71図は、BCP を「策定していない」と回答した企業に対して、その理由を尋ねたものである。これを見ると、「策定に必要なスキル・ノウハウがない」や「実践的に使える計画にすることが難しい」など、BCP に対する敷居の高さが存在する可能性が示唆される。一方で、「策定する人材や時間の確保ができない」や「策定の効果が期待できない」に加え、2割程度が「必要性を感じない」と回答するなど、BCP に対する優先度が高くないことが示唆される。

(出典:中小企業白書 2022)
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