【保存版⑥】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(労働生産性と分配編)

統計・調査記事
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毎年、経済産業省中小企業庁から発行される中小企業白書。2022年版の白書は表紙から参考文献などを含めると590ページに及ぶ。そこで、製造業に関係する統計データを、製造業に関係する者が参考にしやすいように抜粋して、数回に分けて紹介する。第6回目は労働生産性と分配についてまとめた。

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【保存版①】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(国内経済の現状編)
【保存版②】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(中小企業事業者の現状編)
【保存版③】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(雇用の動向編)
【保存版④】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(原油・原材料価格の高騰編)
【保存版⑤】2022年版中小企業白書の統計データを抜粋してみた(事業継続計画の取り組み編)

「中小企業白書 2022」の全文はこちら

※以下、本文中の文章は「中小企業白書 2022」から一部抜粋したもの。
※本記事の図はすべて「中小企業白書 2022」から抜粋しているが、元データの参照元は図表内に記載されている。

企業規模別に見た、従業員一人当たり付加価値額(労働生産性)の推移

第1-1-72図は、企業規模別に従業員一人当たり付加価値額(労働生産性)の推移を示したものである。これを見ると、中小企業の労働生産性は製造業、非製造業共に、大きな落ち込みはないものの、長らく横ばい傾向が続いていることが分かる。

(出典:中小企業白書 2022)

企業規模別の労働生産性の水準比較

第1-1-73図は、企業規模別に上位10%、中央値、下位10%の労働生産性の水準を示している。これを見ると、いずれの区分においても、企業規模が大きくなるにつれて、労働生産性が高くなっている。しかし、中小企業の上位10%の水準は大企業の中央値を上回っており、中小企業の中にも高い労働生産性の企業が一定程度存在していることが分かる。反対に、大企業の下位10%の水準は中小企業の中央値を下回っており、企業規模は大きいが労働生産性の低い企業も存在している。

(出典:中小企業白書 2022)

企業規模別・業種別の労働生産性

第1-1-74図は、企業規模別、業種別に労働生産性の中央値を比較したものである。これを見ると、業種にかかわらず、企業規模が大きくなるにつれて労働生産性が高くなることが見て取れる。

(出典:中小企業白書 2022)

業種別に見た、労働生産性の規模間格差(差分)

第1-1-75図は、大企業と中小企業の労働生産性の差分を用いて、労働生産性の規模間格差を業種別に示したものである。これを見ると、「建設業」や「情報通信業」、「卸売業」では大企業と中小企業の労働生産性の格差が大きいことが分かる。一方で、「小売業」や「宿泊業、飲食サービス業」、「生活関連サービス業、娯楽業」では、大企業も含め業種全体での労働生産性が低いこともあり、企業規模間の格差は比較的小さい。

(出典:中小企業白書 2022)

OECD加盟国の労働生産性(2020 年)

第1-1-76図は、我が国の労働生産性について国際比較したものである。日本の労働生産性については、OECD加盟国38か国中28位とOECD平均を下回り、首位のアイルランドの約4割弱程度の水準である。

(出典:中小企業白書 2022)

企業規模別に見た、労働分配率の推移

また、第1-1-78図は企業規模別に見た労働分配率の推移であるが、大企業に比べて、中規模企業及び小規模企業では、労働分配率が長年にわたって高止まりしていることが分かる。経済・社会環境の変化に対応しつつ、企業としての成長や事業の拡大を継続的に図っていくためには、収益拡大から賃金引上げへの好循環を継続させることが必要であり、起点となる企業が生み出す付加価値自体を増大させていくことが重要であると考えられる。

(出典:中小企業白書 2022)
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